音声ガイド ※お持ちのイヤホンをご利用ください。
音声ガイド本文
長崎の本河内水源すぐそばの水神神社には、河童石という大きな石があります。むかしから、水神神社では、河童のいたずらを鎮めるために、河童たちを集めて、ごちそうする珍しい行事がありました。いつも拝殿をぴしゃりとしめきるので、主人である神主をのぞいて、中の様子を決して見ることはできません。それでも、河童たちのガヤガヤ騒ぐ奇妙な声や、食器をカチャカチャ鳴らす音だけは聞こえてきました。ごちそうの中には、必ずたけのこの輪切りがありました。河童たちの皿には固い老いたけのこを山盛りに、神主の皿には柔らかい若たけのこを上品に盛り付けます。河童たちはたけのこをなかなか噛み切ることができませんが、神主は平気でたけのこを食べますので、河童たちは「うわあ、人間は歯が強いんだなあ。」と感心したそうです。そもそも、この神主は敏達天皇の孫で、日本中の水の中の動物たちをまとめる栗隈王の子孫と言われていましたので、河童たちはこの神主を大層敬い、慕っていました。いつも水神神社にお客があるときは、「献立表」の紙を河童石にはっておくと、翌朝、新鮮な魚や野菜などが石の上にのせてあったそうです。
参考 / 吉松祐一『[新版]日本の民話48 長崎の民話』未來社、長崎県小学校教育研究会国語部『読みがたり 長崎のむかし話』日本標準
★旅×絵本「ながさき絵本の旅」特別ツアーの対象スポットです。
>>「【新大工エリア】絵本の旅「河童石 / タンタン竹女」をめぐる」の特設ページはこちら