【新大工エリア】龍頭岩

龍頭岩アイキャッチ画像

前書き

龍頭岩は、長崎市鳴滝のシーボルト記念館の近く、春徳寺の裏山にある“城の古址”という丘に横たわる大岩です。この岩には、ある悲恋の物語が伝わっています。

タンタン竹女の特別イラスト

民話「タンタン竹女」 ※お持ちのイヤホンをご利用ください。

音声ガイド本文

むかし、長崎の中島川上流の谷あいから、夕方になると美しい笛の音色が流れてきました。「なんと美しい笛の音だろう。あれはお竹さんの笛の音だ……」と村人の間でも評判でした。お竹さんは、村役人の一人娘でした。ある夏の夕暮れ、お竹さんが笛を吹きながら谷あいを歩いていると、笛の音に耳を澄ませる気高い若者が林の中に立っていました。お竹さんは若者の美しい姿に想いを寄せ、翌晩も谷あいで笛を吹いていると、月明かりに照らされる若者を見つけました。そうして、二人は笛の音に引き合わされ、幾晩も会っている間に、愛し合う仲となりました。「お竹さんの笛の音は、この頃は一層冴えて美しくなっている。」と村の皆は口々に言いました。そんなある日、お竹さんの姿が、ふっつりと消えてしまいました。お竹さんの父親は大層心配して、村人たちと手分けして探しましたが、全く行方がつかめません。ついには、一人の修験者に占ってもらいました。修験者を先頭に、“城の古址”の山道をどんどん登ると、頂上近くの龍頭岩の上で月光に照らされながら、しっかりと抱き合うお竹さんと若者の姿を見つけたのです。修験者は呪文を唱えて、「エイッ!」と一声叫びました。すると、若者は一匹の大蛇に変わり、白い煙を吐きながら森の中に消えていきました。お竹さんは気高い若者を忘れられず、生涯想い焦がれ続けました。それからのこと、この龍頭岩を竹で叩くと「タンタン、タケジョ」と鳴るので、大岩は「タンタンタケジョ」と呼ばれるようになりました。

参考 / 吉松祐一『[新版]日本の民話48 長崎の民話』未來社、近藤祐一『長崎の昔ばなし第一集』竹下隆文堂

★旅×絵本「ながさき絵本の旅」特別ツアーの対象スポットです。

>>【新大工エリア】ながさき絵本の旅「河童石 / タンタン竹女」をめぐる の特設ページはこちら

龍頭岩
住所|長崎県長崎市夫婦川町11(東海氏墓所より高台、森に続く小道の先)
アクセス|新中川町電停から徒歩10分

地図はこちら

関連記事

  1. 福建会館アイキャッチ画像

    【館内エリア|唐人屋敷】福建会館

  2. 有馬キリシタン遺産記念館のアイキャッチ

    【島原半島|南島原エリア】有馬キリシタン遺産記念館

  3. 【新大工エリア】民話「河童石」

  4. 蝶々夫人アイキャッチ画像

    【山手エリア|グラバー園】蝶々夫人より、アリア「ある晴れた日に」の歌唱

  5. 松森天満宮アイキャッチ画像

    【新大工エリア】松森天満宮

  6. 新地中華街アイキャッチ画像

    【新地エリア】新地中華街(新地蔵所跡)

  7. 西望公園・西望記念館のアイキャッチ

    【島原半島|南島原エリア】西望公園・西望記念館

  8. 武家屋敷のアイキャッチ

    【島原半島|島原エリア】武家屋敷

  9. 光源寺アイキャッチ画像

    【寺町エリア】光源寺