島田 典明《しまばらの音風景》をめぐる(連動特設ページ|島原アート展)

文筆家 島田 典明

2008年、島原市生まれ。島原高等学校1年生。法務省主催 社会を明るくする運動作文コンテスト 優秀賞等を受賞。何気ない日常のワンシーンから、心温まる文章を書き起こしている。今回は、展覧会「島原ボタニカル・アート展 – 植物をうつす」(2024年10月14日〜26日開催)第五会場 喫茶ケルンに、故郷島原のまちをめぐりながら自身で一つ一つ収録した「音風景(風景写真、文章、環境音)」を展示する。

島田 典明《しまばらの音風景》の
音声特設ページへようこそ。

本ページでは、第5会場 喫茶ケルンに展示されている 島田典明《しまばらの音風景》と連動した、その時間・その場所の「8つの環境音」をご試聴いただけます。各作品に記載の「音声番号」に応じた臨場感のある環境音を流しながら、会場の「風景写真とエッセイ」を順番にご鑑賞いただく“音風景 – サウンド・スケープ”をお楽しみください。

猛島海岸

音風景|2024.07.27 15:00

国道251号沿いを島原駅から諫早方面に進み、マクドナルドを右手に曲がると見える猛島海岸。自転車で道を下った先の踏切とまっすぐ伸びる道、前方に広がる海は、さながら映画のワンシーンに迷い込んだような気持ちにさせてくれる。真夏の海辺は、思っているよりも涼しくはない。海からの湿度の高い熱気と砂浜の照り返しが、鼓膜を突き刺すように夏を叫んでいる。嫌になるほどの暑さだが、海の輝きと入道雲の美しさに魅せられて、また来たいと思わせてくれる、そんな場所だ。時間にもよるが海岸沿いの道には釣りをしている人がいる。どうやらシーバスやメバル、チヌなんかが釣れるらしい。釣り目的で行くのもありかもしれない。

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猛島神社

音風景|2024.07.27 15:00

猛島海岸沿いを潮風に吹かれながら歩くと、猛島神社は見えてくる。松の木が並ぶ参道を抜けると、少し広めの境内に出る。お正月にはこの境内でお焚き上げがされていて、初詣にはこの炎で暖をとらせてもらっている。猛島神社のかわいいポイントとして、運が良い人は御手水で水浴びをしているカラスを見かけることができるという点を僕は推したい。カラスは神様の使いというから、この子たちはこの神社の子なのかな~なんて想像して、ほのぼのとするものだ。僕個人の感想になるが、この神社のお正月おみくじは、よく当たるイメージがある。是非、初詣に来てみてほしい。

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海の見えるベンチ

音風景|2024.08.25 13:00

霊丘公園の海側東端、現在工事中のサッカーグラウンドより更に海側に見える小高い丘。階段というよりは、段差付きのスロープといった方が似合うやや荒々しい階段を登ると、それは見えてくる。まず真っ先に目に入るのは、何かを囲んでいる怪しげな塀だ。森の中にあるだけに重々しい神妙な雰囲気を醸し出しているその正体は、島原護国神社である。背の高い草に囲まれて見えづらいが、戦没者を祀る石碑と祠がある。その奥に見えるのが僕がすごく推している「海の見えるベンチ」だ。(ちなみに、僕が個人的に名付けた愛称である。)周りを木々に囲まれたこの場所で、セミの声を聞きながら海風を浴びるこの時間は、癒しの非日常そのもの。最高のロケーションで、ほのぼの系物語の主人公気分を味わうことができる。

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ひそかな祠と神社

音風景|2024.08.25 13:00

霊丘公園のすぐ隣、どんぐりや松ぼっくりがたくさん転がっている丘を登ると、先程までの公園の空気とは打って変わって、辺りは鬱蒼とした森の中になる。道らしい道もなく、特に目印もないそんな丘の中を歩くと、突然出会える祠が今回紹介したい僕の推し場所だ。近くにある霊丘神社とは異なり規模も小さく、少し朽ち果てて、今にも忘れ去られそうになっているその祠は、見つけた瞬間、トトロにでも出会ったかのような特別感がある。クモの巣には引っかかるし、足元も決していいとは言えない。進んでこの丘を探索する人はそう多くはないだろう。それでも、登る人にしかない特別な出会いを是非体験してほしい。

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温泉熊野神社

音風景|2024.08.24 17:00

フードショップまきから見える石の鳥居、その参道の奥に温泉熊野神社はある。まず迎えてくれるのは、カエルの石像と、小石がたくさん乗った小さな鳥居だ。この神社にはいくつかの遊具があることから、夕方になると子供たちが集まる。子供たちの間で、「鳥居の上に石を乗せれたら願いが叶う」という噂が流行ったために、たくさんの小石が乗っているのだ。(投げた石が落ちてきて怪我をすることもあるので、真似はしないでほしい。)すぐ隣にある森の中から、たくさんの蝉の声やキジバトの声が聞こえてきて、境内はなんだかほのぼのとする。さて、この神社にまつわる僕の推しポイントは、温泉熊野神社の御手水には、季節によって鮮やかな草花が泳いでいること。とても綺麗なので、是非見に行ってみてほしい。

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岩戸神社

音風景|2024.08.06 13:00

まず、神社までの道中には、最近ではめったに見かけることのない段々畑を見ることできる。段々畑という希少性と、その圧倒的な美しさを是非生で見てほしい。さて、神社に着くとあたりはもう山中で、太く高い木々が参道を囲んでおり、言葉には言い表せない神聖さを感じさせる。この高い木々の間から降り注ぐ木漏れ日の幻想的な美しさと、近くを流れる川の影響もあって夏でも涼しいことから、神社までの道のりは短く楽だとは言いづらいが、楽しく歩くことができる。そうして見えてきた神殿は、岩肌と一体になるように存在し、神殿だけでなく、周辺一帯が力に溢れているようである。そして、その中に今、僕もいると感じさせてくれる。

*岩戸神社 の空間を体験する
『360°VR動画』を見る(Youtubeで開く)

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原城跡

音風景|2024.07.20 13:00

世界遺産にも認定された原城跡。海に面した広大な土地、一面の草原は歩いていて、とても心地いい気分にさせてくれる。城跡というだけあってここにどんな城があったのか、それは想像することしかできない。しかし、ところどころに見える城の基礎のような明らかに人工的に土が盛られている場所をみると、「あぁ、ここはかつて城だったんだな」と懐かしいような、寂しいような、それでいて少し高揚するような気持ちにさせてくれる。さて、僕が観光したときは、一周ぐるりと巡るのに1時間以上かかってしまった。夏場ともなると日傘をさしていても堪える暑さなので、熱中症対策をしっかりとしておいた方がいいだろう。

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島原総合運動公園

音風景|2024.08.10 14:00

眉山の麓に位置する島原総合運動公園。野球場やテニスコート、陸上競技場、そして、児童コーナー、通称ロケット公園などたくさんの施設があり様々な目的でたくさんの人が楽しめる場所だ。その中でも、先程挙げた児童コーナー、通称ロケット公園は僕にとって思い出深い施設だ。小さい子供も楽しめる小型のすべり台から、たくさんのすべり台などが大きなロケットと一体になった複合型遊具をはじめ、たくさんの子供たちをとりこにしてきた数多くの遊具が並んでいる。高校生となった今改めてこの場所に行ってみたが、見ているだけで、あの頃のロケット遊具で、さながら宇宙飛行士だった頃の自分が顔を出してきた。きっとこの先も、多くの子供たちを宇宙飛行士にするのだろう。あの頃より身長は伸びたはずなのに、色褪せつつあるロケットがとても大きく見えた。

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